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適応障害は、職場や学校などで強いストレスを感じた際に柔軟な対応ができなくて、日常生活を送ることが困難になるほどの不調がこころと行動に現れる病気です。こころの症状には、落ち込み、不安、焦る気持ちなどがあります。行動面に影響が出ると、涙もろくなる、さらに日常生活に支障が出て、仕事を続けられなくなったり、学校に行けなくなったりする場合があります。子どもの場合には、イライラする、攻撃的な行動をとることがあります。
特徴は、ストレスとなる出来事が明らかなことです。一般には、その出来事があってから1〜3か月以内に発症し、ストレスがなくなれば6か月以内に改善します。ストレスが続き適応障害が長引くと、うつ病や不安症につながる場合が少なくないので、早めの対処が必要です。
強い症状が現れた場合には、心療内科、精神科などを受診することをお勧めします。
わたしのクリニックでおこなっている治療は、(1) 環境の調整と、(2) 薬物療法です。
(1)環境を調整する
適応障害の治療はまず職場や学校などの環境をできるだけ詳しく知ることから始めます。生活環境を一緒に確認し、客観的な状況を把握します。同時に、患者さんの体験談を尊重しながら、どのようなことにストレスを感じてきたのかを一緒に確認します。
どのようなことが問題なのかが明確になれば、心理療法や精神療法によって、環境の調整へとつなげます。必要であれば医師の診断書を提出し、職場の調整や休職などの手続きをします。また、学校の場合には保健室登校をしながら、養護教諭や担当教員が環境の調整を行います。
「問題解決法」は、だれでも容易に行える方法の一つです。問題点をノートに列記し、それを解決するための案をできるだけ多く書き出す。それぞれのメリットとデメリットを自分なりに考え点数化し、解決法を一つえらび、すぐに実行してみる。結果よりも自分で考え、チャレンジしたことを評価し学習する方法です。
(2)薬物療法によって症状を緩和させる
症状が環境調整の妨げになっている場合や、環境調整を行ったあとも適応障害がすぐにはよくならず苦痛が強い場合には、抗不安薬や抗うつ薬などによる薬物療法を行うことを検討します。しかし、これらの薬には眠気や胃部不快感などの副作用があり、十分説明する必要があります。さらに車の運転をしているか、妊娠の可能性があるかなどを確認する必要があります。
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